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アイエム 歴史上の偉人のお話
No.16 「天知る、地知る、我知る、汝知る」 ~ なぜ秘密や悪事は暴かれるのか?
後漢前期の大尉であったヨウシン(楊震:54~124年)が、地方の太守に任命され赴任の途中で宿泊した時のことです。
夜遅くに県令の王密という人物がヨウシンを尋ねてきました。王蜜は、ヨウシンが自分を官吏(役人)に登用してくれたことに深く恩を感じていました。そして懐から莫大な金を差し出しました。
「これは心ばかりの御礼のしるしでございます」
ヨウシンはすぐにそれを断りましたが、王密はと引っ込めようとせず、こう言いました。
「これは賄賂でなく恩返しです」
「そのように堅苦しくお考えくださいますな。それに今は真夜中。他に誰も知るものはおりません」
するとヨウシンは急に居住まいを正し、その目が鋭く光りました。
「誰も知らぬと言われるのか。現に天も見ているし、地も見ているではないか。私も知っている。
君も知っているではないか。どうして知るものがないと言えるのか」
王蜜はこのヨウシンの言葉に恥じて引き下がりました。
これが『楊震の四知』として有名な言葉~「天知る、地知る、我知る、汝知る」のお話です。
いつの世も、二人だけの秘密のはずが、誰も知るはずのない秘密が
しばしば露呈するのは何故でしょうか?
天も見ている、地も知っている。悪事とはこのようにして暴かれるものということでしょう。
そこには、ごまかしきれない自分の良心も含まれているのかもしれません。
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