アイエム～心に残るちょっといいお話～

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アイエム　歴史上の偉人のお話

【1】一職を軽視するなかれ「豊臣秀吉の心がけ」	【2】倦まずたゆまぬ不屈の精神
【3】真のウソと偽りのウソ	【4】いっそ死なない祈祷をお頼みします
【5】なぜ数千の韓信軍が二万の趙軍を破ったか	【6】一番おいしいものは塩。一番まずいのも塩
【7】十万両を百万両にすることは容易いことですが	【8】相対性理論は瓦職人が屋根から落ちて思いついた？
【9】「足るを知れば、辱（はずか）しめられず」--中国の思想家・老子流の「幸せになる方法」	【10】上杉謙信公「宝在心」--謙信の家訓から学ぶ、健やかな心身へのメソッド
【11】リンドバーグ夫人の考える「島らしい」生き方	【12】徳川家康から学ぶ「チャンスをつかむタイミング」
【13】人間にとって不健全なこととは？～判を押すような毎日で気づくこと～	【14】「自分で薪を割れ、二重に温まる」～自動車王・フォードの意外なライフスタイル～
【15】漱石が考える心の癒し方～草枕の冒頭は「この世は住みにくい」だけじゃない～	【16】「天知る、地知る、我知る、汝知る」～なぜ秘密や悪事は暴かれるのか？
【17】「人こそが大名の資産である」～敗れてなお、家臣を引き付ける直江兼続～	【18】「裸にて生まれて来たに何不足」　～無一文の男が家庭薬を成功させるまで
【19】「飲酒は罪ですか？」の答えを浄土宗の開祖・法然に聞いてみたら	【20】「僕は手を尽くした」　～シートン動物記に秘められた熱意と信念～
【21】「織田信長のシェフ」が語った長寿の秘訣とは？

No.8　相対性理論は、瓦職人が屋根から落ちて思いついた？

　アインシュタインの相対性原理は、瓦職人が高い屋根から転げ落ちるのを見て思いついたという噂がありました。
ある人がそのことを尋ねると、普段とても温厚なアインシュタインが不満の色を浮かべ「それはもっての外です！」といってこう言葉を続けたそうです。

「確かに瓦職人が落ちたのは事実です。だが、それからヒントを得てあの原理を発見したのではありません。それ以前から散々考えたり実験したりしていたところに職人の落ちるのを見たのです。よく世の中ではリンゴの落ちるのを見て、ニュートンが引力を発見したと申しますが、それも同じことです。引力というものがなければならないと考えていたところに、リンゴが落ちただけの話です。リンゴが落ちるのを見ただけで、引力を発見するなんて馬鹿なことはありません。心で見ることが重要です。心で考えていることに、ちょうど当てはまったものを見て、一種のインスピレーションを受けるのです」。

「かつて私は、自分の書斎の窓が大き過ぎるので半分に縮めて下に戸棚を作ったことがありました。それを見たある人が、これはいい思いつきですね、と言いました。でも決して思いつきではありません。長い間、大き過ぎる窓が嫌で嫌でたまらず、なんとかしたいと常々思っていたところに、ふと下半分を戸棚にしたら、という考えが浮かんだのです。科学上の大発見も同じことです。ただひょっと思いついたのでは断じてないのです。インスピレーションは決して空虚な心には与えられません。それを得ようと血のにじむような苦心、努力をしている心にのみ与えられる尊い賜物です。無から有は生じません。長い苦しい努力なしに、ただの思いつきなどというものはないのです。無から有は生じません。長い苦しい努力なしに、ただの思いつきなどというものはないのです」。

　偉大なるアインシュタインの厳粛な言葉に、人日は粛然と襟を正したそうです。世紀の大発見は、一見偶然のようにしてなされたとしばしば語られます。アインシュタインの言うように、偶然できるようなものは世の中には一つも無い。得てして人は結果のみを見て、褒めたりけなしたりすることが多々あります。しかし、大切なのは血の出るような苦労をした道筋であり、その道筋があったからこそ偉業が生まれてきたということです。企業やメーカーの商品開発も同じ。思いつきで爆発的なヒットとなるような商品を生み出せることはまず少ないでしょう。日々生活のあらゆることにアンテナを張り巡らせ、懸命に思考を凝らし、世の中のニーズがどこにあるのか。どのようなものを創れば人々の役に立つのか。喜ばれるのか。開発担当者は生みの苦しみを担って仕事をしているはずです。